HackCampはアフリカでのビジネスは今回が初めての取り組みであったため、現地のパートナー探しはイチから行いました。

「日本の農林水産系企業の技術とアフリカの課題を組み合わせて、フードバリューチェーンを構築するための方法を作る」というミッションに協力していただける相手を探すために、現地で開催されたカンファレンスやミートアップ、行政機関や大学、コワーキングスペースやインキュベーターに民間企業と、幅広く現地を訪問しました。

しかし現地では、想定していた以上に日本に関する情報が入っていないことから、そもそもどのような技術や企業が存在するかが共有されていない状態で、調整は難航しました。というのも、この時点では、日本国内でもどのような企業の方と協働できるのか想定されていなかったため、こちらから提供できるものが明確ではなかったからです。

弊社のケースに限らず、アフリカ進出においては、市場への期待値が先行して考えられ、明確に「このソリューションを展開する」と示せない状態で始まるプロジェクトが多いかと思います。

HackCampがこうした状態から、本ミッションを達成するための現地パートナーとMOUを結ぶまでの間、一貫して実施してきたのが、お互いの納得解を探るビジョン形成です。

アフリカ展開は新規事業開発に似ている

海外マーケットへの新規展開は、①限られたリソースで、②不確実な状態かつ、③多様なメンバーで進めるという点が、共創型の新規事業の開発によく似ていると考えています。

新規事業開発においては、不確実性が高い場合は、まずはプロジェクトの「あるべき姿」を多様なメンバーで合意形成し、全員が納得する進め方とビジョンを握ることから始まります。

このような状態で、ガチガチにプランを固めると、目標のための目標を追いかけてる間に、チームは分散し、リソースが溶けてなくなります。

そのため、機動的に検証と改善のサイクルをまわしていく必要があるのですが、その際、関わるチームメンバーが進め方とあるべき姿に納得しモチベーションを同期できているかどうかでチームへの貢献が大きく変化し、プロジェクトの達成に直結します。

ビジョン形成とMOU

日本ではあまり浸透していませんが、アフリカの商習慣では、協力関係を進めるためにまずはMOUを結ぶことから始まります。

定型的な内容も散見されるのが一般的ですが、その後のプロジェクトに大きく影響しますので、このMOUで「あるべき姿」をお互いに握っておく必要があります。

この取組では、最終的に政府組織や官民学農業ビジネスインキュベーター等、起業家育成等に力を入れている組織と弊社はMOUを結んだのですが、MOU締結前に念入りに、お互いの納得解を探り続けました。

なぜなら、このMOUの締結自体、お互いの組織間で細かな調整タスクが発生することから、担当者間でモチベーションが同期できていないと、かなりの期間をかける必要が出てくるからです。

こうした手法で、弊社は最終的に以下のパートナーとMOUを結びました。

HackCampのパートナー(MOU締結先)

Rwanda Development Board

ルワンダへの海外投資窓口となる省庁

CURAD INCUBATOR

ウガンダで最も起業家を輩出している官民学連携農業ビジネスインキュベーター

blue Moon

エチオピア最大のビジネスインキュベーター

KAKEHASHI AFRICA

アフリカ全土の元日本奨学生ネットワーク(ケニア)

上記以外で招聘させていただいた方々

  • E-gates.Ltd 在ルワンダの日本人コンサルタント/ 笠井 綾子 氏
  • CURAD Innovation Challenge 優勝の農業スタートアップ / Sharon Mary Nazziwa
  • Kenya Fruits Solutions ケニアで活躍する起業家 / 山本 歩 氏
  • Asian Kitchen 日本とルワンダの橋渡しをするアジア料理店を経営する起業家 / 唐渡 千紗 氏
  • Africa Accounting Advisory 在ルワンダの日本人公認会計士 / 笠井 優雅 氏

コラボレーションFSキックオフ

MOUを締結した後も、ビジョン形成は継続的に実施し、日本に招聘した第一日目にも、全参加者でキックオフのビジョン形成をしました。

「なぜこのプロジェクトを実施するのか」「それぞれの参加者のモチベーションはなにか」を「ありたい姿」から考え、共有し、それぞれの期待値が同じテーブル上でシェアされることで、モチベーションを同期しました。

①限られたリソースで、②不確実な状態かつ、③多様なメンバーで進めるプロジェクト(かつ本プロジェクトは、基本的に金銭含む利害関係が緩い新たな取り組み)であるため、参加者全員が「こうしたい」と考えるビジョンを作ることは、アフリカビジネスの展開においても必要不可欠だと考えています。